2012年2月3日金曜日

[ 心臓病と男性ホルモン] by 清美どうぶつ病院のブログ

昨日は、心臓の勉強会でした。
そこで、たくさんの事を学びましたが、今日は、簡単な内容を一つ。

犬は、心臓病が多いのですが、心臓病と一口に言っても、いろんな原因があります。
生まれつきのもの(先天性)
生まれつきでないもの(後天性)
と、まあ、大きく分けて2つに分かれ、
先天性心疾患には、動脈管開存症とか、心室中隔欠損症とか、大動脈弁狭窄症とか・・・。
後天性には、僧帽弁閉鎖不全や、三尖弁閉鎖不全や、肥大型心筋症とか・・・。
まあ、書ききれないくらい、いろんな病気があります。

で、全部の心臓疾患の中で最も多いのが、僧帽弁閉鎖不全(MR)と言う病気です。

小型犬に多く、老犬に多い病気です。
発症しやすい犬種があります。
そして、男の子に多いとのこと。

と言うのは、人間の医療では、テストステロンが関与していると言うことが、すでに分かっており女性でも閉経後に増えるとのこと。

動物での研究では、2002年に男の子のほうが、女の子より、進行が早い傾向にあると発表されています。
また2007年には、腱索断裂は、男の子に多いという論文が発表されています。(腱索断裂集団の割合:男の子68%、女の子36%)

解説:腱索とは、心臓の弁をつっている糸の事です。
これが切れると、弁を引っ張ることが出来ないため、弁がベコベコになってしまいます。
弁がベコベコになると、閉じることが出来ないため、血液の逆流が生じるのです。

まだまだ、動物の方ではテストステロンの関与に関して詳しい研究はされておらず、去勢手術の有効性に関しても調査されていません。

そう講習を受けて、振りかえってみると、当院でも圧倒的に男の子です。
ウサギさんも、男の子の症例です。
当院は、去勢手術率が高いため、今治療している子たちの約半数が去勢手術を受けているので、なんとも言えません。
しかし講師の先生が、この病気を患った子を調査したところ、男に子に限って調べてみると圧倒的に去勢手術を受けていない子たちだったとのことです。
ただ、今の日本で去勢手術がどれだけ普及しているかを考えると、まだ何とも言えない結果です。

とは言っても、男の子で多いことは証明されていますし、人間の研究で、テストステロンが関与していることはわかっていますから、この疾患の発生率を減らすために、去勢手術は有用ではないかと思います。

心臓病を患ってからでは、なかなか麻酔をかけるのも心配ですから、私もそこまではチャレンジしませんが、まだ、そこそこ若い子は、去勢手術を受けた方がいいと思います。

心臓病は、手術を受けない限り治りません。(大学の動物病院など、手術を出来る施設は限られます。また、手術適応の症例、および経過が良いものの話です。)
基本的には、薬で進行を遅らせる治療になって来ます。
費用もかなりかかりますし、手間もかかります。

もちろん去勢手術を受けても、好発犬種と言うのがありますし、他の原因でも発症しますから、予防しきれないかもしれません。
しかし、リスクの一つを排除することは出来るのではないかと思います。

マーキング防止や、精神の安定化、肛門周囲腺腫の予防、会陰ヘルニアの予防など、メリットはたくさんあります。
(もちろん、麻酔のリスク、太りやすくなると言うリスクもあります。)
去勢手術を受けましょう♪

PS.もちろん、かかりつけの動物病院で。

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