2012年1月22日日曜日

おぐにあやこの行った見た書いた| Alcohol is a Drug

生まれて初めての訳書「自傷からの回復」(みすず書房、

折りしもその日は、警察庁が2011年の月別自殺者数の速報値(
胸にどっしりと来る話なのでした。

もう1点、被災地でのアルコール問題の話にもなりました。たとえば避難所で生活基盤を失った漁師さんたちが昼から酒盛りをしていたとして、「避難所では飲酒禁止」といえるのか? という問題。
それをバッサリと言ってしまうのはやはり、あまりに切ないものがあります。

でも、酒の上での小さな揉め事や暴言、場合によっては暴行や女性への嫌がらせ……お酒のもたらすかもしれないネガティブな結果は数え切れない、というのも現実なのです。
まして、仮設住宅で一人暮らしの被災者がアルコール依存症に陥ってしまう切ない事例っていうのも、これまでの災害でもいっぱいあったし、今もきっとあるのだと思います。

そんなわけで、もっとアルコールの問題をきちんと考えなきゃいけないよね、というような話になったのでした。

アメリカで一つ、学んだことがあります。
私の暮らしていたメリーランド州では、運転免許証取得の前に3時間のアルコール・ドラッグ講習を受けなきゃいけませんでした。この内容というのが、いわゆるアルコール&薬物乱用防止教室、みたいな感じでね。アルコールや薬物が人体に与える影響や各種ドラッグの呼び名、影響、依存の程度など、かなり膨大な知識を学ぶことになります。
挙句の果てに、最後はこれらの知識を問うテスト。
これに合格しなければ、免許は取れない仕組みなのです。

このテストの最初の問題ってのが、何より印象的でした。
文章の正誤を問う問題なんですが、こんな一文でした。

Alcohol is a drug.  (アルコールはドラッグである)」。

もちろん答は、「正しい」です。
考えてみれば当然の答なんですけどね。
この一文を見た瞬間、
「そうなんだなあ、アルコールって、最も安価で、手に入りやすく、それだけにコントロールもしづらいドラッグなんだよなあ」
と改めて気付かされた思いでした。

過去に薬物依存の取材やら、自傷の取材をしていた時も、あっちこっちでアルコール問題とぶつかったもんです。「切っちゃった」と電話してくる子が最初に飲んでたのも、そういえばお酒でしたっけ。
(すぐに、処方薬に移っていったけど)。
違法薬物乱用やら、ほかのアディクションへのシグナルとして、飲酒にもっと関心を払うべきだったなあ、と今、反省をこめてそう思います。

……ってな話し合いを、そもそも、お酒の席でやっちゃってる、アンタらってどうよ? 
なーんて突っ込まないでくださいね。
(実のところ、この日の黒糖焼酎はホント、おいしかったのよ)。

お酒大好きで、時には一人で自宅飲みしちゃう私が、なにをエラソーに言うのか、って話ではありますが。
自殺予防を考えるとき、アルコール問題はとっても大事だとひしひしと感じます。

だって、こればっかりはアルコール依存症本人だけの問題じゃないから。
配偶者や、その子どもたちにまで、時には、自殺の影を引き寄せてしまうから。
そんな悔しいケースをいくつか取材してきた今、しみじみとそう思うのです。

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