2012年1月23日月曜日

中日新聞:急性アルコール中毒死で両親が提訴 :社会(CHUNICHI Web)

 愛知学院大の2年男子学生=当時(22)=が2009年夏、テニスサークルの合宿中に急性アルコール中毒死したのは、上級生らに飲酒を強要されたためとして、両親が大学と上級生らに8700万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴したことが分かった。1980年代に社会問題化した「イッキ飲み」はその後、沈静化。しかし、明らかな強要はなくても、仲間意識やその場の雰囲気などから断れず、事故につながる例がここ数年、再び増加傾向にある。

 訴状によると、男子学生は、09年8月7日午前1時半から6時ごろまで、合宿先の新潟県妙高市のホテルで、上級生ら約100人と飲酒。飲酒を強要されて、泥酔したまま部屋に放置され、午後3時ごろ遺体で見つかったとされる。

 男子学生の父親 (56)は「息子はもともと家でも酒を飲まず、好きでもなかった。飲酒を無理強いするような時代ではないと思っていたが、上級生らへの聞き取りでは、場を盛り上げるために、大量に飲まないといけない無言の圧力があった」と話す。強要したり、部屋に放置したりしたとして、上級生ら23人に加え、飲酒への注意や指導を怠ったとして、大学の責任にも言及している。

 NPO法人「アルコール薬物問題全国市民協会」(東京都)によると、80年代には年10人以上の学生が急性アルコール中毒で死亡。その後、00年代前半にゼロの年もあったが、08年に5人、09、10年には4人が亡くなっている。コンパや寮、サークルの飲み会で、短時間に大量の酒を飲ませる危険性に、警鐘を鳴らしている。

 大学生の� �ルコール中毒死では、神戸地裁が昨年、物理的な強要がなくても「心理的に飲まざるをえない圧力をかけるのは、強要に当たる」との判断を示し、和解を勧告。08年に長男を亡くした両親と大学間の和解が成立している。

 今回の訴えに、愛知学院大の担当者は「サークルは学生による任意の団体で、事故は大学の知らないところで起きている。学校の責任は問われない」、上級生の代理人は「酒を飲まなければいけないような状況に男子学生を置いてはいない」と本紙に述べた。

(中日新聞)

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